第6回 次のレースに備え、EXPの教えを乞うべし    

前回(第5回参照)のレースで手痛い惨敗を喫してしまったTYRの面々。とはいえ、次に出場が予定されている『ツーリングカーミーティング第3戦』までに残された時間はあとわずか、いつまでもくよくよしてはいられない。自らの弱点を克服すべくTYRメンバーはチーム全員揃っての練習を開始した。


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 より実戦的なトレーニングをするため、レースが開催されるKサーキットに出向いたTYRメンバー達。今回の練習で何をすべきかはチーム全員がわかっている。前回のレースでの失敗の克服…、それなくしては上位に上がることはできないのだ。

 そんな彼らを心配してか、今回の取材にもコスモトレードアンドサービスの小林さんが同行してくれた。小林さんの姿を見つけ、何かしらのアドバイスをもらおうと集まるTYRメンバー。

 「レースの結果は残念でしたね。でも、そのおかげでそれぞれのマシンの弱点が見えてきたのも事実でしょう。今日は私の友人でエキスパートドライバーの田辺さんにも来てもらったから、わからないことは何でも彼に相談するといいですよ。」

 「こんにちは、田辺です。」

 田辺さんは、年数回Kサーキットで開催される『ツーリングカーミーティング』で常に上位に顔を出し、今年は更なるステップアップのため京商カップにも参戦を予定している、いわば「Kサーキットの主」のような存在の人だ。

 「ぼくにわかる範囲でよければ、いくらでも相談にのりますよ。」という心強い言葉を受け、レース時に起こった各自の問題点を田辺さんにチェックしてもらうこととなった。

 まずは前回のレースでシャーシ側のトラブルでリタイヤしてしまったり、マシンのセッティングが合っておらず実力を出しきれなかった、石田さん、清山さん、原さんの3人が、それぞれに田辺さんのアドバイスを受けた。

石田さん

レースでは気温の変化に合わせたセッティングができず苦しんだ石田さんだが…。

「おそらくは、タイヤ(もしくはインナー)のチョイスミスや、ダンパーのセットミスが原因でしょうね。確かにレース当日の短い練習時間でセッティングを出すのは難しいんですが、みなさんはチームで参戦されているわけですから、各自が示し合わせてダンパーやタイヤのセットを変え、それぞれがデータを交換し合うことで、その日の状況にマッチしたセットを見つけるのが一番効率がいい方法じゃないかな…。これは、仲間と一緒にチームで参戦する最大のメリットですね。」

また「最初はどこから手をつければいいんですか?」という石田さんの問いには

「まずはタイヤチョイスが一番大事だね。タイヤさえ決まっちゃえばセッティングの8割は決まったようなものですよ。」

とも語ってくれた。

清山さん

トップスピードは申し分無いが、コーナリング時に内側のタイヤが浮いてしまい、最悪の場合転倒することも…。

「コーナーで片輪が浮いてしまう原因はいくつか考えられるけど、『重心位置が高い』もしくは『ロール量が大きすぎる』かのどちらかがほとんどですね。前者の場合は、車高(最低地上高)を下げたり、ボディをハイトの低いものに交換するなどしてやれば大丈夫。後者の場合は、ダンパーを硬めに設定するか、ダンパー内部にOリングやスペーサーを追加して、ストロークを規制してやるといいでしょう。また、スタビライザーを装備するのも手ですね。とはいえメカニカルグリップが低くなるというデメリットもありますから、この辺りのセットアップは少しずつ慎重にやりたいですね。」

 原さん

前回、予選までは絶好調だった原さんだが、サーボのトラブルで結局結局リタイヤ…。ドライビングテクニックは素晴らしいものを持つ原さんだけに、レースディスタンスを走りきれるマシンの耐久性が必要なようだが…。

「原さんの場合、レース中のクラッシュでステアリングサーボを固定するネジが緩んでしまい、マシンのニュートラルが大きくずれてしまったのがリタイヤの直接的な原因だそうですね。つまり、ステアリング系の耐クラッシュ性をアップする必要があるということです。同様にエンジンカーでは走行中の振動が大きいだけに、それに対する防振対策を十分しておく必要もありますね。サーボ取り付けにグロメットを用いたり、取り付け用のネジにはネジロック剤を塗っておくのも効果的ですね。また原さんの場合は、サーボコードを引きずって断線させてしまうトラブルも同時に抱えていたということなので、ストラップバンドを使ってコード類をきれいにまとめておく習慣をつけることも大事ですね。」

 続いては、レース中のエンジントラブルでリタイヤを喫した飛山さん、近田さんのマシンをチェック。同時に次のレースにむけて新車『V-One R』をシェイクダウンする米川さんは、エンジンの慣らしについてのレクチャーを受けることとなった。

米川さん

チームリーダーながら前回のレースは欠場となってしまった米川さんは、メンバー達の結果が振るわなかった状況を見てリーダーとしての責任を感じたのか、次回のレースに向けてニューマシン『京商V-One R』を準備。今回はエンジンの慣らしを含めたシェイクダウンとなった。

そこで、田辺さんのオススメの慣らしの方法を聞いてみた。

1. ニードルバルブを全閉から3回転半開ける。アイドリング調整ネジの隙間は1ミリ。

2. この状態で1タンク分走る。

3.ニードルバルブを1/16閉める。

4.2~3を数回繰り返す。

「ここまでやれば完璧ですよ。」

「う~ん、なるほど。参考になりますね。」

飛山さん

前回はアイドリング調整用のネジについているスプリングが走行中に緩んでしまい、リタイヤとなった飛山さん。普段は仕事で忙しくマシンの整備がおろそかになってしまうと飛山さんだが…。

「この部分に限らずレース中のトラブルを未然に防ぐには、レース前のメンテナンスを確実にやっておくことが必要でしょう。とはいえ、みなさんお仕事などで忙しいでしょうから、一度にすべての部分を整備するのではなく、時間に余裕を持っていくつかのパートを何日かに分けてメンテナンスするなどの工夫が必要ですね。また、走行中に『何か変だな』と思ったら、無理な走行はやめてすぐピットインし、早めに原因をつきとめるというのも大事です。これを心掛けるだけでも、マシンのダメージはかなり少なくすることができます。」

近田さん

レースではエンジンの調子が悪く、今回はその調整をしたいという近田さんだが…。

「レースでは思いきってレース用燃料をチョイスしたそうですが、近田さんの場合、エンジンそのものの調整も大事だけど、まずは自分のドライビングに合わせた燃料のチョイスから考え直してみるといいんじゃないかな…そうなると、ここは僕よりも小林さんにお任せした方がいいよね?」

と、いうことで燃料のチョイスについてのお話を『燃料のエキスパート』である小林さんに伺うことにした。

「現在、RCカー用の燃料は、ニトロ量や用途の違いで様々な種類が販売されています。一般的にニトロ量が増えるとパワーアップが望めたり、エンジンの冷却性が良くなりますが、その分燃料自体の価格は跳ね上がります。

また用途の違いでは、一般用、バギー用、レース用などと分類されていますが、一般用及びバギー用の燃料は混入されているオイルの量が比較的多く、エンジンの吹け上がりがマイルド(=運転しやすい)でニードル調整もやさしいという特徴を持っています。一方のレース用燃料はエンジンレスポンスと最高回転数の向上を狙い、混入されているオイルの量が少なめに設定されています。このためニードルの調整には、ある程度の経験が必要になってきます。

つまり、GPツーリング入門者の方は、一般用のニトロ20%の燃料や比較的オイル量の多いバギー用ニトロ30%の燃料を使って、まずは御自身のドライビングテクニックを磨くというのはどうでしょう?レース用燃料は、ドライビングの腕が向上し、コンスタントにラップを刻めるようになってからでないと、宝の持ち腐れになりかねませんからね。」

 各自のマシンのチェックも終わり、いよいよコースイン。まずは模範走行となる田辺さんの走りを、チーム全員で見つめることに。

 「ラインどりはアウトインアウトが基本だけど、レースともなればそうとも言っていられないので、イロイロなパターンを試してみることですね。また、バトルの際は前を走っている車のラインどりをよくみて、2~3個先のコーナーでの相手の動きを予測しながら走ると良いでしょう。反対に後ろから迫られている場合は、あまり突っ込みすぎず、インを確実にブロックすることの方を心掛けたいですね。」

 田辺さんのアドバイスを胸にチーム全員がコースイン。基礎的なドライビングテクニックを磨くために黙々と走り込みをする者、田辺さんに先行してもらい、ラインどりの確認をする者、お互いにポジションを入れ替えながらレース形式での実戦的なトレーニングをする者など、練習の方法は様々だが、メンバー全員が次回参戦のレースに向けて熱のこもった走りをみせる。

 Kサーキットには、日が暮れるまでTYRのマシンのエキゾーストノートが響き渡った…。

 サーキットの営業も終了時間となり、練習走行も無事終了。アドバイスをしてくれた田辺さんや小林さんのためにも、次回の『ツーリングカーミーティング第3戦』では絶対に負けられない! 意気上がるTYRメンバーはチーム全員で円陣を組み、お互いの健闘を祈るのだった。